mountribalcamper

キャンプホリックの一人話談

街を走り、山を登り、キャンプして遊ぶ、の巻

北海道出身

北海道の網走市というところが出身で、18歳の時に東京に出てきてからずっと都内で暮らしているので、もう半生以上を都民として生きている。

だからごくたまに北海道に行く事があっても気分は完全に旅行者だ。道外から北海道に向かう観光客とほぼ同じ気持ちで北海道に行っていると思う。僕なんかはすでに地元の道より都内の道のほうが数段詳しくなっているし。

 

そんな自分でも北海道弁に関しては、そっちの方が言いやすくて、なおかつ普通に伝わるものは今でも日常的に使っている。

どうした?を『なした?』って言うのは確実にその方が言いやすい。それに、なしたって言って『え?』と聞き返される事はまずない。

どうした?って気持ちで『なしたのさ』と言えば、こうしたああしたって返事がちゃんと返ってくる。

〜かな?を『〜かい?』っていうのもそっちの方がいいと思っている。

大泉さんがいつか言っていたんだけど、〜かい?には北海道人の優しさや気遣いが含まれているんだと話されていたのをテレビで見た時に^_^全くその通りだと感じた。

これ食べる?って聞くより、これ食べるかい?って聞いたほうが相手に対する良かったらどう?って思いやりが言葉に出ていると思うからこれも使う。

『〜さる』も使う。

たとえば何かのボタンを間違って押してしまった時には『押ささった』と言う。

お腹いっぱいのはずだったのにまだ食べれたって時は『食べらさる』

言いたくないが言ってしまう時なら『言わさる』

これは通じないだろうけどよく使っている。

『言いたくなっちゃう』って言うより言わさるの方がやっぱり言葉にしやすいし、〜さるは基本的につい口に出ちゃった独り言みたいなものだから、返答を求めてる言葉じゃないので別にいいと思う。

したっけは北海道弁の中で有名な方だと思うがもちろんこれも使う。

そしたらさって事を会話の中で言う時に、話の流れの中で『したっけさ〜』が出てきても、聴き慣れない言葉だろうが流れで分かってもらえるし、やっぱりこれもそしたらさって言うより言いやすい。

 

でも、自分が北海道の出身だって事でなにより一番思うのは、都内で初対面の人と話す時『へー北海道なんですか、美味しいものいっぱいあっていいですねー、それならこっちの寿司なんか食べれないでしょ?』みたいな事を必ず言われるんだけど、それはぜんぜん違いますよ!ということ。

 

東京のお寿司屋さんはすごく美味しいと思う。

美味しいと思えない店もあるだろうけど、それは北海道にだってたくさんある。

牛乳だって牧場まで直接行って搾りたてでも飲混ぜてもらえば、そりゃ美味いんだろうけど店で売ってるのは基本的に全国同じだろうし、旅行で関東にある牧場の近くにあった道の駅に寄った時、その日の朝に瓶詰めしたばかりの牛乳があったので、それを飲んでみたらものすごく美味しくて感動した。

食べ物にこだわりはない方だが、料理するのも好きだし味覚にはそれなりに自信もある。

北海道で生まれ育ったから食に恵まれていたとはそれほど思えない。

たとえば海産物なら瀬戸内海のだって美味いし、個人的には富山や石川の方が海産物は美味いんじゃないかと思う。もちろん海産物の中でなにを食べたいかって話で分かれる意見もあるけども。

毎年1月の中旬ごろに東京ドームの中で『ふるさと祭り』という日本全国の特産品が結集したフードフェスが開催されていて、それに毎年行ってるんだけど毎年思うのが『なんで北海道のブースが一番幅を利かせてるのか』という疑問。

北海道は日本列島で一番面積が広いからブースの数も多くなるのは分かる。でも毎年毎年お決まりのように北海道のブースだけ特別枠で押さえられてる事が納得いかない。

あそこの広々スペースは県毎のローテーションで回していってもらいたい。

 

子供の頃は親切のおっちゃんが漁師だったのもあって、しょっちゅうカニを山盛り持ってきてくれてた。ありがたい事だし確かに美味かった。

でも、頻繁にカニを食えたせいで家族全員が飽きていたし、量もすごかったからいちいち手の込んだ食べ方はしてなかった。ただ茹でて殻を割って食べるだけ。

大変なご馳走ではあるんだけど、お腹がいっぱいになればアフリカの飢えに苦しんでる子供だって食い物を残すだろうし、食べても食べてもなくならないとなると美味しいとは思えなくなる。

『美味しく食べたい』と『美味しく食べさせたい』この2つの思いが通じ合っているところに美味いものはあると思う。

食材に恵まれていても、それを大切に扱う気持ちと姿勢がないと喜ばれないだろう。

値の張るコース料理だから美味いわけじゃないし、素朴な味付けの煮物だからってまずくなんかないし、北海道だから美味いわけじゃない。

 

間違ってると言われても、俺は何を食べるかってよりどうやって食べるかの方が大事だと思う。

コンビニの菓子パンだって大好きな人と二人で分け合って食べるような状況があったら、きっとその味はずっと思い出に残るだろう。

せっかく高い金を払ってフランス料理を食べに行っても店員の態度がなんか悪いとか、気分を害するような事があったらちっとも美味くなんかないだろう。

北海道弁の『〜かい?』には北海道人の優しさや気遣いが含まれているって事を大泉さんが言ってたように、自分が美味しいなって思う気持ちと相手にも美味しくあってほしいなって思う気持ちが味覚に喜びを与える。

一人で食べる食事だって食べ物や食べる行為自体を雑にしないで大切にすれば美味しく食べられる。

食べ物は『物』だけが美味いのではなく、どう食べるか『その時』と結び合って美味しくなるんだ。

それすなわち美味さである、そこんとこよろしく。と誰かに言いたい。