mountribalcamper

キャンプホリックの一人話談

街を走り、山を登り、キャンプして遊ぶ、の巻

究極のキャンプ

十何年間か前、まだ登山を始めて2〜3年くらいの時はバックパックやウェアは何がいいのかあれこれ試しまくってた頃で、靴もそうだけどカッコいいと思うブランドの登山用品を買い漁っていた。

当時はカリマーが好きだった。着こなした自分のシルエットがシュッとしてて、そこが気に入っていたんだ。

でも、ある日おれは自分という人間がとんでもない未熟者だという事を思い知ることになる。

 

登山中にすごい人を目撃した。

おそらく60代くらいだっただろう。そのくらいの男性がランニングシャツ1枚に短パンたいて、履いてる靴は下駄。

下駄はいてリュック担いで黙々と山を登ってるその男性は坊主頭で山下清そのものだった。

その人を目の当たりにした瞬間に俺は自分が浅ましい人間だと唐突に感じた。自分を恥ずかしく思った。

ブランドやらスタイルやらを気にして、自分の身体ではちっとも勝負していなかった。

あの人は己の肉体と精神力を武器に山を踏み締めている。それに比べて俺は上っ面だけ綺麗に見せて中身はまるでフニャフニャ。

あれが本物なんだと分かった。

それからはブランドだとかデザインだとか気にせず、自分自身を鍛えて自分にとって本当に必要なものと、お金の価値じゃない良いものを選ぶようにようになった。

とは言え、靴は下駄じゃない方が良い。

自分はスカルパのを履いているが、足の怪我は登山では致命傷なので高い金払ってもしっかりとしたものを履いた方が良いと思う。

 

登山と同じくらいキャンプも15年くらいやってきているが、これまで何百回もキャンプしてきて思った『究極のキャンプ』とは

それはやはり、なんにも持たないで歩いてキャンプ場までやってきて、その辺の野草を取って食って、夜はテントも張らずに地面に横になってそのまま寝る。

これだろう。こればっかりは自分には真似できない。キャンプの究極形態だろう。

自分がキャンプしてる横でただ地面に横になって、そのまま朝まで寝てる人がいたら感服する。それか保護するかもしれない。

 

その人がそれを楽しんでいたら、俺はこの人には勝てない…と思うだろう。

勝ち負けの前にそんな事しないでほしい、と思うかもしれない。