mountribalcamper

キャンプホリックの一人話談

街を走り、山を登り、キャンプして遊ぶ、の巻

消えた超能力

我々は脳の90%以上を使えていないと聞いた事がある。

ごくまれにとんでもない記憶力を持ってる人とか、信じられない桁の計算を一瞬のうちに暗算できる人がいるようで、きっとそういう人達は普通の人よりも脳の機能を何%か多く使えているんだろうけど、このわたしもある時期、常人を凌駕した感覚を発揮していた事があった。

たぶん頭の中がなんか間違って1%くらいハミ出しちゃったんだろう。

そのハミ出た分の脳の力がわたしに特殊な能力を与えたんじゃないだろうか。

でもしょせんは間違いで研ぎ澄まされてたものだから、脳が『ヤバイ、これ間違えてる』と判断しちゃった時点で終了しちゃって、わたしとしては無念というほかない。

わたしという人間の身の丈にあった脳であるように、脳が動いているんだろう。脳め。

 

あれはきっと『予知能力』と呼ばれるものだったんだろう。

20代の前半くらいに『なんかそんな気がする』ってふと思った事がそのあとすぐに現実になってしまう時があった。

最初の異変は友達とブラブラ歩いてる時に『なんか今日は食べ物で良いことがあるような気がする』とふいに思って、それを友達にも伝えた。

そしてそのちょっと後にお腹が空いたからなんか食おうってなって、二人で焼肉を食べに行ったら、お会計の時になぜかタダで済んでしまった。

二人して酔っ払っていたしどんな説明だったかは正直覚えていない。

とにかく『マジかー!超ラッキー!』って舞い上がってた記憶しか残ってないから具体的に何があったか定かじゃないが、食べ物で良いことがあるような気がするって思った数時間後に実際にそんな事が起こって、もうホントにビックリだった。

でも、その次に起きた予知体験の事はハッキリ覚えてる。

その当時の僕がバイトしてたのはロードサイド店舗のうどん屋だったんだけど、道路側の壁は一面ガラス張りだったから、店が暇な時はよくそこに立って外の景色を眺めていた。

 

その日もそう。と言うかいつも暇な店だった。

いつもみたいに窓の外を見ていたら、突如目の前を火ダルマになった車が横切って行った!

嘘じゃなくて本当に炎をあげて走る車を見た。

慌てて他のスタッフにそれを教えたら、一人がちょっと見てくるって言って車が走って行った方に出て行って、それから10分くらいして戻ってきたら、別になにもなかったと言われ、僕もあれだけ燃えてる車が走ってればすぐ大騒ぎになるだろうに、一向に消防車とかの音も聞こえないならこれは何かの見間違いだったのかと思い始めていたら、ようやく消防車が近づいてくる音が聞こえてきた。

やっぱり!ってなって、さっき見に行ったスタッフがまた出て行った。

でも燃えていたのは車じゃなくて、バイト先の店のすぐ近所にあった別の飲食店だった。

火はすぐに消し止められて大した騒ぎにはならずに済んだんだけど、僕が見たのは確かに車だった。店じゃなく。

結局そんな事実はなかったけど、僕は猛烈に興奮した!予知能力だ!って。

すぐ自慢しまくった。会う人会う人に。

私は超能力を手に入れたんだと。

ただ残念だったのが自分で考えた事が現実になってくれるわけでなく、なんの前触れもなく急にふと思い立った事だから、何が起こるか自分でも予想出来ない。予知のようで予知じゃないようなモヤモヤは感じていたけど、その後も『なんかこうなるような気がする』って思ったら、本当に思った通りになる事が何度か続いた。

あの力が有効だったうちに『宝くじが当たるような気がする』と思えなかった自分が悔しい。

 

人間は人生でモテ期が3度あるというが、そういう常識では説明出来ないようなオカルト的なサイキックパワーがなんかのきっかけで覚醒しちゃうバイオリズムもあるのかもしれない。

ああ、無情。