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キャンプホリックの一人話談

街を走り、山を登り、キャンプして遊ぶ、の巻

また食べたいカレーライス

年齢とか生活状況とかで諦めるしかなくなる前に、後悔しない人生の選択肢を勇気を出して決断したい。今まさにそういう時に自分は立っている。

あの人にはお世話になっているから面と向かって進退の話を切り出しにくいとか、今後の収入が心配だとか、とりあえずは今のままを維持した方がいいのかなとか、具体的にまずは何をすればいいんだろう…とか、自分の中の決心をにぶらせる色んな要素に打ち勝って、大きな第一歩を踏み出すしかない。

そうしよう。

 

僕は美味しいものを食べる事が好きだし、美味しいと思うものを作るのも好きだし、酒を飲むのも作るのも好きだ。

だから飲食店をやりたい。

大好きな奥さんと二人で一緒に切り盛りして生きていける居場所を作りたい。

そのために今すぐにでも出来る事は今すぐはじめる。

 

さて。

高い金を払って高価な食材を使えば簡単に美味しいものは出来上がるけど、出来るだけコストを抑えてリターンを利益とするのが商売の根本的な考え方で合っているはず。

なおかつ、料理に手間はちゃんとかけるけども、かと言ってかけすぎないくらいの下準備で、手際よく注文に応えられるように仕込みを済ませておける体制を考えたい。

理想は毎日の家の夕飯と同じくらい手早く、しかしお金を払って食べるに値すると感じでもらえるクオリティ。

 

家のご飯で思い出したけど、フランスの普通の家庭では毎日なにを食べているんだろう。

まさか毎日コース料理ではないだろうけど、フランスの普段の食事の事はなにも知らない。

まあ、フレンチのコース料理のこともぜんぜん知らないけど。

フランスの肉体労働者は昼飯になにを食べているのか。上品そうに思える国で上品じゃない人が毎日なに食べてるのか気になる。

 

僕は毎日カレーでもいい。ネパール行った時もカレーしか食べてなかったけど、ぜんぜんこれでいいと思った。毎日ダルバートカレーでまったく文句ない。むしろ最高。

 

一番美味いカレーはあるだろうか。

美味しんぼで美味い白飯を炊くのにも手作業で米粒を一粒ずつ選り分けて、米粒の微妙な大きさの違いがなくし均一にする事でムラがなく一層ゆっくらとした炊き上がりになる。食べてもらう人のためにそこまで出来るという事が人に感動を与えるんだー!ってな感じで、究極対至高の勝負に勝つ事ばかりに意識がむいてしまっていた山岡さんを海原雄山が一喝する話があった。

それは本当に恐れ入るおもてなしの心ではあるんだけど、自分の奥さんがそこまでの苦労をしながら毎日米を炊いてくれてたら、米炊く以外の事は何もしてくれなくなるだろう。そんなの嫌だ。

 

僕は片親で父親の顔も知らない。母親は仕事で忙しくてあまり家に帰って来れなくて、小さい頃はばあちゃんがお母さんなんだと思っていた。

だから自分にとってのお袋の味はばあちゃんが作ってくれた料理。

とくにソーセージと卵をケチャップで炒めたやつと、ルーが多すぎてオタマから落ちないほどベッタリした豚肉のカレー、あの味は今でも忘れられない。

ソーセージの方はただケチャップで炒めてただけのはずなのに自分で作ってみても、どうしてもあの懐かしい味にならないから不思議。

カレーの方は店であれが出てきたら怒るかもしれないくらいのもので、ルーを使い過ぎてるから辛いと言うより塩っ辛い。

でもそれが好きだった。

すっかり大人になった今の自分はカレーを作るときはルーを使わずにスパイスだけでやっちゃったりするようになっちゃったけど、今でもあのカレーが恋しい時がある。

 

カレーライスにしても、味噌汁にしても、お好み焼きとかにしても、店に行って美味いものを食べさせてもらう事は簡単に出来るけど、一番美味いそれなんてあるのかな。

家庭の数だけその家の味があっても不思議じゃない。

日本一美味い味噌汁を出すと言われる料亭でランチの定食を食べても日本中の人がみんな美味いと答えるわけではないはず。

味の好みも具材の好みも食べる場所の好みも人それぞれのはずだから。

なにを食べるかより、どういう風に食べるかの方が大事な場合もあるだろう。

 

見栄を張りたい時の外食は別として、どこにいても自分の一番落ち着く場所にいるような気持ちで過ごせる事が食事だけじゃなく生きていくためにすごく大切な事だと思う。

だから、出来るだけそんな空間に近づけた店を作って、そして料理は出来るだけ人の味覚を刺激しない穏やかな味で提供できるようにしたい。

味の好みが人の数だけあると考えるなら、みんなに好かれる刺激を求めるのはきっと不可能だ。だったら誰の事も刺激しない味にすれば誰からも嫌われる事はないはず。

体に良く、落ち着けて、優しい時間を過ごせる食事が出来る店を作ろう。

 

ばあちゃんのカレーライスはもう食べられないけど、自分にとってのばあちゃんのカレーのように『これこれ!これだよ!』って思ってもらえるようなそれを作る。